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0 シーフリード『がんを餓死させる ケトン食の威力』

  • 執筆者の写真: yd
    yd
  • 2024年7月1日
  • 読了時間: 6分

更新日:2024年7月2日


このページの内容(2024年7月2日改訂)

〇 原著者略歴

一 原著者の献辞

二 目次

三 ピーター・ペダセン博士の前書き(準備中)

四 シーフリード博士の序文(準備中)

五 訳者・要約者の前書き

六 ご利用にあたって



〇 原著者略歴


トマス・N・シーフリード

現在ボストンカレッジ生物学教授


略歴

1976年、イリノイ大学アーバーナ・シャンペーン校で遺伝学・生化学の博士号を取得。イリノイ州立大学ノーマル校で遺伝学の修士号を取得。  ベトナム戦争中、アメリカ陸軍に従軍した。 エール大学医学部神経学教室で博士研究員を務め、同大学専任教員として勤務した後、ボストン・カレッジに移籍。 Nutrition & Metabolismなど数多くの学術誌のシニアエディターを務める。190以上の査読付き出版業績がある。

このブログ要約版の原著書 Cancer as a Metabolic Disease: On the Origin, Management, and Prevention of Cancer は中国語に翻訳された。


一 原著者の献辞 

有毒ながん治療で苦しみ亡くなった何百万人もの人たちに捧ぐ


二 目次

第一章 がんのイメージ

第二章 がんがどうしてできるかに関する混乱 

第三章 がんの実験モデル

第四章 正常細胞とがん細胞のエネルギー源

第五章 がん細胞の呼吸機能不全

第六章 ワーブルク論争 

第七章 がん細胞の呼吸は正常か

第八章 グルタミン発酵とがん細胞のエネルギー源

第九章 遺伝子、呼吸、ウイルス、そしてがんの起源

第一〇章 呼吸不全、逆行性反応、そしてガンの起源

第一一章 ミトコンドリア: がん抑制者

第一二章 ミトコンドリアの機能不全

第一三章 転移

第一四章 ミトコンドリアの呼吸不全とがんの染色体以外の起源 

第一五章 がん生物学で進化論以外は通用しないという偏見

第一六章 がん治療戦略

第一七章 がんのエネルギー代謝的管理

第一八章 がんマネジメントのための代謝的治療の忍耐強い実施

第一九章 がん予防

第二〇章 ケトン食の経験的事例

第二一章 結論


三 ピーター・ペダセン博士の前書き(準備中)

四 シーフリード博士の序文(準備中)


五 訳者・要約者の前書き(2024年7月2日改訂、version 2)

 このブログに掲載したのは、

Thomas N. Seyfried

Cancer as a Metabolic Disease

On the Origin, Management, and Prevention of Cancer

John Wiley & Sons Inc. 2012

の日本語全訳の要約版である。原著書の日本語版はまだ出版されていない。略歴は別途記載するが、原著者トマス・シーフリード博士は米国ボストン・カレッジで脳腫瘍に関して長年研究を積んできている脳神経科の研究者である。本書でシーフリード博士は、がんの標準治療に疑問を呈し、二〇世紀前半に活躍したオットー・ワーブルクのがん治療法をさらに前進させた。

 重要なポイントは、がんはミトコンドリアが損傷した結果、正常な細胞呼吸ができなくなり、細胞が発酵しながら生き延びようとして、細胞核のゲノムが変異して発生するという点である。がん化した細胞がエネルギーとして代謝できるのはブドウ糖とアミノ酸なので、この二つのエネルギー源をケトン食とグルタミン阻害薬を用いて除去すれば有効な治療になる。

 要約についてひとこと説明しておきたい。原著は四百ページ以上の大著で、実験結果のデータや注記、参考文献が大量に含まれている。シーフリード博士は一般読者を念頭に置いて書いたと述べ、実際にとても丁寧に説明してくれている。他方、シーフリード博士と相談しながら原著を翻訳していた時、がん患者や家族、および医療実務者にとって、専門的すぎてあまり参考にならない個所が随所にあることにも気づいていた。シーフリード博士は現在も研究論文の執筆や講演活動などで忙しくされているので、一般向けの要約版を執筆する気はあるものの、もう少し先のことになるだろうと言っていた。したがって翻訳者としてなるべく早く日本の読者にシーフリード博士の主張する「代謝病としてのがん」の理論と予防・治療の実践を知ってもらうには、このブログで公開するような形で、日本語の要約版を作成することが肝要であると考えるに至った。特にこの三年間、今まで全く報告されてこなかったような形で、世界中で多くの人の命を奪っている同時多発性のターボがんの治療に応用できることは極めて朗報である。

 日本の研究者や医療関係者でより詳しいデータや資料が必要な方々は、現在も入手できる英語の原著書を参照していただきたい。シーフリード博士はとても親切な方なので、直接最新の研究業績やデータを依頼することもお勧めする。また出版社が見つかれば、原著書の全訳もいずれ出版できるようになるだろう。

 なお本書の要約とは別に、シーフリード博士から送ってもらった実践用治療計画に関する資料は、全文を別途掲載する予定である。医師ではないシーフリード博士は、専門医と協力しながら治療実績を上げている。むしろ医師でなかったために、標準治療にこだわらない治療を開発できる立場にいるとも言えるだろう。

 補足として、国の内外を問わず、標準治療に対するいわゆる代替療法として、数多くの植物由来あるいは寄生虫薬などのがん治療法が実証されている。びわの種(アミグダリン)、梅の種の核(アルテミシニン)、たんぽぽの根、よもぎ、ビタミンB17・C・D、重曹・クエン酸、二酸化塩素、イベルメクチン、フェンベンダゾール、IP6など枚挙にいとまがない。これは医学情報ではない。薬効があるかは読者が確認してほしい。


六 ご利用にあたって

 この要約版は、原著書の構成や趣旨は全く改変せずに、一般読者向けに簡潔に記述したものである。全二一章の全ての章と節が収録してある。訳者の責任で省略したのは、一般読者の視点から見て、重複していたり難解すぎたりする個所、図、写真、キャプション、詳細な研究者氏名・研究機関名、注、索引である。第一章「がんのイメージ」で、理論や治療法に関係の薄い部分も数段落割愛した。

 全般にわたり、訳者の意見は掲載していないが、読みやすい文章にするために、原文にない専門用語の定義や補注は加えてある。医療の専門家から見ると説明がくどかったり、大雑把過ぎたりする部分があるかもしれないが、原著書の構成と趣旨を生かしつつ、一般読者にわかりやすく伝えることを目指した。

 訳語は、一般読者が読みやすいように選んだ。例えば「代謝(metabolism)」については、「エネルギー代謝」という訳語も併用した。細胞レベルの「呼吸」は、人間の呼吸と区別するために「細胞呼吸」などと表記した箇所がある。がんはひらがな表記を基本としたが、脳腫瘍、悪性腫瘍などはそのままとした。がん細胞とがんの塊とを区別する必要がある個所では、腫瘍、腫瘍内、などの訳語を残した箇所がある。訳者の言語的センスについては、読者の批判を仰ぎたい。

 本書の題名は直訳すると、『代謝病としてのがん がんの起源、管理および予防について』となる。代謝という用語は、医療関係者には違和感ないようだが、一般市民の受け止め方を念頭に置いて、敢えて『がんを餓死させる ケトン食の威力』とした。ちなみにシーフリード博士は、一般向けインタビューなどで "cancer as a food-borne disease"(直訳すると、「食べ物が運ぶ病としてのがん」)という表現も使っている。ミトコンドリアの損傷につながる添加物の多い食生活、発がん要因の一つである肥満、及びがん治療期間の過度な炭水化物摂取などを念頭に置いて、用語を選んだと受け止めている。

 なおこのブログに無料で掲載するこの要約版は、原著書の全訳ではないので、翻訳権は該当しないものの、誤植・誤記は全て訳者・要約者の責任である。ご指摘いただければ幸いである。原著とブログURLなど出典を明記した上で、自由に転載や配布をしてくださって構わない。

 一人でも多くの方々にシーフリード博士の研究成果を知っていただきたいと願っている。



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