足を踏みつけておきながら被害者を装う Stepping on someone's toe and pretending to be the victim
- yd
- 2022年4月26日
- 読了時間: 3分
The perpetrator calls the victim a criminal.

世の中には奇妙奇天烈な話があるものです。実話に基づき、個人名や背景などは特定できないように変更して、ある会社で起きた実話スキャンダルの顛末を書きます。
永年勤続表彰を受けたOは、社長Xに抜擢され副社長ポストを受諾しておきながら、コロナ禍の新年度早々にXの方針に不満を持つようになり、就任2ヶ月目にして早くも会社の会長にXの下での取締役会体制の解体を要求する直訴状を出した。就任2ヶ月と言えば、取締役会がどう機能しているかもほとんど把握していない段階である。その要求の根拠はきわめて薄弱なもので、事実に基づかない主観的なものだった。
さらにOは就任5ヶ月後にさらにエスカレートしたメールを会長に出し、ますます勝手な行動をとるようになった。取締役会のメンバーや幹部社員に対して、Oは会社を辞める覚悟でそれを書いたと漏らしていた。当然だろう。それほど不満なら最初から要職を引き受けるべきではなかったし、一旦引き受けたのなら、全体像がわかるようになるまで様子を見るべきだっただろう。しかしOは短期な性格で即断即決を好み、短視眼的であり、周囲との調和や後先を顧みることなく、また周囲の慰留も聞かず、直訴に及んだ。
会長は、そのOの直訴をうのみにして、Xに辞表を求めた。ここで第一義的に経営の誤判断の責任を問われるべきなのは会長である。こんな貧弱な直訴状だけで、Xに辞表を書かせるとはどのような了見なのか。説明材料がないので説明できないのである。
Xは無理やり辞表を書かされたので、Oに直訴の主旨説明を求めたが、Oは弁護士と相談していると公言し、人事の責任者は会長であって、自分にはこの顛末の責任はない、と言ってひとことも説明をしようとはしなかった。Oの弁護士は、Xに対して、Oにも弁護士にもコンタクトしないように求めた。弁護士に相談するという段階で、Oにはやましい気持ちがあったのだろう。
そればかりではない。OはXがOの執務席に来て穏やかに話そうとしたことを取り上げ、自分はXに脅迫されている、Xが万が一、Oの自宅にストーカーとして訪ねてきた時にどのように警察に通報するか準備していると人事部にまで言い広めた。まるで泥棒が家主を泥棒呼ばわりするような倒錯した態度である。加害者Oは被害者Xをストーカー呼ばわりした。途方もなく荒唐無稽な話である。
Oの姿勢は理不尽さにおいて度を越している。加害者が被害者然とした態度をとってはばからない。誰が誰を傷つけたか理解できていないOは、実に無責任な人物である。ちなみに、スキャンダルから2年がたつが、Oはいまだにのうのうと会社の幹部ポストに居座っている。
Xは会長を相手取って裁判を起こし、会長に非を認めさせる和解を勝ち取ったが、次にはOによる名誉毀損も訴えるだろう。
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