top of page

興奮毒素としてのグルタミン酸ナトリウムとアスパルテーム Dr. Lauren Deville's views

  • 執筆者の写真: yd
    yd
  • 2023年2月27日
  • 読了時間: 8分


ree


米国で自然療法医を務めるローレン・ドュヴィル博士のサイトで、グルタミン酸ナトリウムとアスパルテームに焦点を当てた興奮毒素の紹介があったので、ご紹介します。この記事は、参考文献に依拠しています。なお[......]括弧内は翻訳者・ブロガーの訳注です。


ローレン・ドュヴィル博士

「興奮毒性は刺激物が神経を過度に刺激する時に発生します。信号[刺激]を受け取るNMDA (N-methyl-D-aspartate) 受容体が神経伝達物質によって刺激されると、細胞内にカルシウムが放出されます。体は常に均衡を保とうとするので、過剰な電解質[カルシウム]の発生により、細胞は細胞外から水分を取り込もうとします。神経細胞内のこの急激なカルシウム濃度上昇により、細胞は膨張し死にます。

このプロセスを生じさせる物質は興奮毒素と呼ばれます。

興奮毒性は神経に由来する疾病を生じさせます。例えば、

アルツハイマー病

パーキンソン症候群

ハンティントン病

ALS(筋萎縮性側索硬化症)

などの疾病です。化学物質過敏症とも関連しています。

NMDA受容体に影響する物質には、主要な興奮剤としてグルタミン酸、アスパルテイト、そして、拮抗薬 (遮断薬) マグネシウムがあります。


1 グルタミン酸 (グルタメート)、およびグルタミン酸ナトリウム (MSG)について

グルタミン酸 (グルタメート) は、グルタミン酸というアミノ酸から生成されます。グルタミン酸は、学習や記憶に関わるNMDA受容体を刺激する役割を担っているので、グルタミン酸そのものが悪いわけではありません。しかし体内の全てのことはバランスが大切です。良い物質も過剰になると悪影響をもたらします。グルタミン酸が過剰に受容体を刺激すると、次のような弊害があります。

・フリー・ラジカルが生成され、酸化損傷をもたらします。現在、加齢と多くの慢性病は酸化損傷によるものであるという説が有力なので、これは深刻な問題です。

・ミトコンドリアの損傷 ミトコンドリアは赤血球以外の全ての細胞内に存在し、生体の電気エネルギーを発生する役割を担っています。残念ながらこのプロセスも悪循環に陥ります。ミトコンドリア損傷はNMDA受容体を活性化させ、酸化損傷を生じさせ、さらミトコンドリア損傷につながります。

・脳の視床下部内の神経細胞の破壊 視床下部は生体内の内分泌物質を出す主要な器官で、神経伝達物質としてグルタミン酸を用いています。この器官の損傷は肥満、低身長、生殖不能、および低性ホルモン症 (性腺機能低下症) 、睡眠サイクル障害、体温調節障害、甲状腺機能低下症、頭痛などをもたらします。

・インシュリン過多により、低血糖と過食症になりやすくなります。


グルタミン酸による興奮毒性は、MSG(グルタミン酸ナトリウム)や遊離グルタミン酸を含む食品の過剰摂取、または通常量のグルタミン酸を同化(消化)できない場合に発生します(GAD受容体に関しては後述)。


タンパク質 [アミノ酸] を食べ過ぎたからと言って、過剰なグルタミン酸が脳血液関門を通過してしまうわけではありません。タンパク質摂取の場合は、アミノ酸 [グルタミン酸] 濃度は相対的にバランスが取れていて、体は必要に応じて体を形作る材料としてタンパク質を活用します。しかしグルタミン酸は加工食品の旨味を高める添加物として極めて多く使用されていて、大抵、原材料表示に掲載されていません。


MSGはグルタミン酸ナトリウムの略で、グルタミン酸にナトリウム原子が一つ結合したものです。米国食糧医薬品局 (FDA) は、MSGが純粋なら原材料表示をしなければならないと定めています。しかし遊離グルタミン酸もMSGと同じ健康被害をもたらすものであるにも関わらず、遊離グルタミン酸は表示義務がありません。ラッセル・ブレイロック博士の『殺しの味』によれば、以下のような原材料表示にも注意が必要です。

・天然香料、香辛料 遊離グルタミン酸などを隠すラベルになっている

・加水分解、自己分解などの表記のついたタンパク質、野菜・植物性タンパク質、酵母、大豆タンパク質、エン麦粉など。植物タンパク質エキス、タンパク質濃縮、タンパク質分離物など改変されたタンパク質は全て。

・ナトリウム・カシネート、カルシウム・カシネートなど

・カラギーナン

・大豆のついている加工食品は怪しい。代わりにココナツアミノ酸が使えます。遺伝子組み換えやグルテン、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウムの問題を心配せずに美味しく飲めます。

・酵素で改変されたものは全て 酵素(enzymes)は興奮毒素的アミノ酸を発生させます。

・モルトという言葉を含む原材料 例えばモルト香料、大麦モルト、モルトエキス。

・ブロスという言葉を含む原材料 [きちんと肉や野菜を煮出して作った]ブイヨンまたはストックなどの有機ブロス以外もの。


2 グルタミン酸ナトリウム脱酸素酵素 (GAD) によるグルタミン酸受容体の治療 加工食品に入っている遊離グルタミン酸を避ければ、戦いには勝ったようなものです。しかし、グルタミン酸濃度が高い場合や、GADがあまり働かないような遺伝的障害がある方々の場合は、追加の治療が必要です。

グルタミン酸ナトリウム脱酸素酵素 (GAD) はグルタミン酸をGABAに変換します。GABAは、不安症を軽減してくれる鎮静効果のある神経伝達物質で、グルタミン酸がグルタメートに変換されないようにしてくれます。あらゆる酵素(エンザイム)はキチンと機能するために、ビタミンやミネラルのようなコエンザイムを必要としています。GADのコエンザイムはビタミンB1 (チアミン)とB6 (ピリドキシン)です。チアミン不足は稀なので、必要に応じて補充すべきなのはB6です。

タウリンも有効です。タウリンは GABA受容体を刺激するとともにGADを活性化させます。 3 アスパルテートとアスパルテーム もう一つの興奮毒性のある食品添加物はアスパルテームです。これはアミノ酸であるアスパルテートやアスパラギン酸の派生物です。アスパルテームはグルタミン酸ほどNMDA受容体に強力に結合しませんが、食品より飲料として摂取されるので、はるかに速やかに血液中に流れ込みます(砂糖単独で摂取した場合に、タンパク質や脂質と共に摂取した場合に比べて血中グルコースのスパイクを発生させやすいのと同じように)。アスパルテームの興奮毒性は前述のMSGの疾病リストと同じ問題を発生させます。例えば酸化ストレス、ミトコンドリア損傷、視床下部の損傷、インシュリン上昇です。人工甘味料は、インシュリンを上昇させるので、返って体重増加につながると見られています。

アスパルテートの主要な興奮毒性源は、もちろんニュートラスウィート(アスパルテーム)です。コーヒーや紅茶に砂糖の代わりによく利用されています。他の代用甘味料については改めて記載します。


4 グルタミン酸受容体を守る方法

マグネシウムはNMDA受容体をブロックします。カルシウム・チャネルを開くためには結合したマグネシウムを除去しなければなりません。このため、マグネシウムは[NMDA受容体を]興奮毒性から保護することができ、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、ハンティントン病など神経系疾病の制御に有効であると提案されています。

トレオン酸マグネシウムは脳血液関門を通過しやすいので、治療の有力な候補です。グルタミン酸マグネシウムとマグネシウム・アスパルテートは避けた方がいいでしょう。


5 NMDA損傷

興奮毒性は時として、NMDA受容体刺激物の過剰やマグネシウムの欠乏ではなく、受容体そのものの損傷による場合があります。殺虫剤 獅子か、ホルムアルデヒド、有機リン酸塩、トルエン、一酸化炭素などの化学物質で生じることがわかっています。

この場合にもマグネシウム・サプリは有効ですが、抗酸化物質の方を重視すべきでしょう。


6 その他のNMDA調整方法

興奮毒性を鎮めるNMDA調整方法としては、しょうがとテアニンが有効です(テアニンは NMDA受容体を刺激すると同時に鎮静させる興味深い物質です)。


7 まとめ

興奮毒性について、食事に気を付けることが一番大切です。遊離グルタミン酸の入っている原材料のリストを暗記し、ニュートラスウィートを避けましょう。さらに言えば、加工食品は極力避け、できるだけ本物の食べ物を食べましょう。

赤血球中のマグネシウム濃度の検査をして、数値が適正であるか確認し、不足している場合は補うことも推奨します。興奮毒性の症状がある場合、トレオン酸マグネシウムを摂取し、マグネシウム・アスパルテートやグルタミン酸マグネシウムは避けましょう。」


ドゥヴィル博士の紹介は以上です。




ドュヴィル博士のブログに関するコメント

興奮毒性(excitotoxicity)という言葉は、専門家の間では長年知られてきたことのようですが、私は初めて知りました。特にグルタミン酸ナトリウムとアスパルテームを過剰に摂取すると神経細胞が死滅するという話は、一般市民の常識になっていないと思います。日本の政府機関が公開している研究論文のデータベース・サイトで、「興奮毒性」を検索してみたところ、2015年あたりから、論文数が激増していることがはっきりわかります。グルタミン酸関連の論文数も著増です。その多くがグルタミン酸と興奮毒素に関わる論文のようです。専門外ではありますが、近いうちにそのあたりの研究動向を確認します。ローレン・ドュヴィルさんは、医師として自然療法を目指している中で、このような興奮毒素の問題に関わっているようです。おそらく米国でもグルタミン酸ナトリウム業界などから意地悪されているでしょう。


参考文献





 
 
 

コメント


記事: Blog2_Post
bottom of page