top of page

米国資生堂のPFAS集団訴訟

  • 執筆者の写真: yd
    yd
  • 2022年2月5日
  • 読了時間: 3分

2021年12月末、米国の資生堂社はPFASに関する虚偽広告で訴えられました。


米国法律事務所サイト情報によれば、原告は、資生堂(Shiseido Company, Limited)社のbareMineralsブランドの製品が、PFASを含んでいるにもかかわらず、

1 「クリーンで意識が高」く「ピュア」で「強い化学物質を含まない」と宣伝してているのは虚偽広告である、

2 包装や容器やウェブサイトのどこにもPFASを含むことが表記されていない、

3 25年以上使われてきたブランド名自身も、添加物や有害原材料を全く含まないと誤解させる、

4 実際に原告が実施した検査でも、JESTL誌掲載論文の検査でも、bareMineralsブランドの化粧品からPFASが検出された、

などと訴えています。集団訴訟は購入した米国在住者全員を対象としている他、NY州以外でもカリフォルニア州、ミシシッピー州など合わせて6州で訴えを起こす計画になっています。

なお、Coty社傘下のCoverGirl社の化粧品も2021年12月に、PFASを含むにもかかわらず安全で環境に優しいと宣伝しているのは虚偽広告に当たるとして訴えられています。


CMBG3 Lawという法律事務所はボストンを拠点とする企業法務コンサルタンティングを得意としているようです。中でも法務コンサルタントJohn Gardella氏は同社のPFASチームに所属し、長年にわたり、アスベスト、ベンゼン、鉛塗料、鋳型、タルク(タルカム・パウダー)、産業廃棄物などの訴訟を手がけてきた弁護士(shareholder)とのことです。PFASに関しては、一貫して、今後大問題になると警告を発するだけでなく、毎日のようにPFAS関連の最新情報を提供しています。中でもPFAS汚染については、水道水のPFAS汚染の次に、化粧品業界が深刻なPFAS汚染のターゲットになると主張し続けてきています。2021年末の相次ぐ化粧品会社に対する訴訟は、まさにその懸念が現実のものになってきたことを示しています。


CMBG3 LawのウェブサイトNational Law Reviewから


補足として、資生堂は、2010年に買収したbareMineralsブランドを売却したと2021年8月に発表しています。理由はコロナ対応での収益性の悪化のようですが、売却しても、虚偽広告が認定されれば巨額の賠償は避けられないでしょう。


この訴訟に関するコメント

・PFAS(有機フッ素化合物)は長年使用され、日常生活のあらゆるところにあり、きわめて分解しにくく、ごく微量でも発がん性をはじめとするさまざまな健康被害をもたらします。今後日本でも必ず大きな社会問題になります。

・PFASは飲料水からの摂取が深刻ですが、皮膚からも吸収されます。その点で化粧品由来の摂取は見逃せない汚染源です。口紅、マスカラ、ファンデーションなど、のびが良く落ちにくいものは要注意です。

・化粧品に関して、表示義務も規制基準もないのは大問題です。日本では化粧品のPFASに関して全く報道されていません。企業は法律で規制されていないものは黙って使い続けます。消費者教育が欠かせないし、市民運動として、政府や企業任せにしないことがとても大切です。



ree





コメント


記事: Blog2_Post
bottom of page