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日本のPFAS状況 東京の現状 2021年11月4日現在

  • 執筆者の写真: yd
    yd
  • 2021年11月18日
  • 読了時間: 3分

東京都と厚生労働省の検出データに基づいて、水道水に混入しているPFASについて報告します。


(1)東京都水道局最新(2020年)のデータによると、PFASは東京都の水道水から検出されています。

令和2年(2020年)2月〜3月都内給水栓(蛇口)の水質検査結果

(A)23区内検査個所47個所のうち検出限界5ng/L以上のPFASが検出されている蛇口(浄水場)は、

世田谷区砧 10ng/L

世田谷区砧下 13ng/L

その他の検査個所(45個所)は検出限界 (5ng/L) 未満


(B)多摩地区(85個所)でPFASが検出されている蛇口(浄水所)は15個所

立川市富士見第三浄水所 8ng/L

立川市立川栄町 28ng/L

三鷹市上連雀 5ng/L (一の位までの表示でちょうど5ng/Lの意)

府中市府中武蔵台 18ng/L

府中市若松 21ng/L

調布市上石原 27ng/L

小平市小川 22ng/L

日野市大坂上 14ng/L

日野市多摩平 22ng/L

国分寺市東恋ヶ窪 24ng/L

国分寺市国分寺北町第二 26ng/L

国立市国達中 11ng/L

国立市谷保 19ng/L

福生市福生武蔵野台 15ng/L

西東京市保谷町 18ng/L

その他70個所は検出限界 (5ng/L) 未満


東京都水道局の管轄下で蛇口に同局の検査機器が設置されていない自治体は

武蔵野市、昭島市、羽村市、檜原村

の4自治体であり、うち3自治体は独自調査などで補っている。以下の通り。


武蔵野市 令和3年度(2021年度)平均値2箇所 14ng 18ng/L

昭島市  令和2年度(2020年度)平均値3箇所 7.0ng, 4.7ng, 6.5ng/L

羽村市  令和2年度(2020年度)平均値4箇所 1.3ng, 1.8ng, 2.0ng, 1.5ng/L 

檜原村  「水質管理目標設定項目については、東京都福祉保健局において定期的に実施するため省略する。」と記載されているが、PFAS (PFOR, PFOA)について東京都福祉保健局サイトには記載が見当たりません。



(2)厚生労働省令和2年(2020年)1〜3月検査全国データ

PFOS+PFOAの合算値で39個所(うち8個所はNDデータなし)のうち、50ng/Lを超えたところはなかったとされています。検出限界5.0ng/L以上を記録したところは15個所(全31個所中、半数弱)。特に東京の全6個所(以下備考3参照)、大阪市、明石市、沖縄県の計9個所は10.8ng/L〜46.4ng/Lの高濃度でした。後述のようにカリフォルニア州新基準案は1ng/Lなので、注目すべきことである。


備考1 日本では2020年4月、PFOAとPFOSの合算値が「水質管理目標設定項目」に掲載された。目標値は50ng/L。PFOAとPFOS以外のPFASは目標設定されていない(米国もまだ設定されていない、下記参照)。

備考2 parts per trillion=ppt=ng/L

備考3 砧浄水場、国分寺浄水所、谷保浄水所、多摩平浄水所、府中武蔵台浄水所、武蔵野市第一浄水場(23区内の浄水場はひとつも検査されていません。)


米国の最新状況として以下の基準案が参考になります。

JFEテクノリサーチ資料

訳文(抜粋)

「2021 年 7 月 22 日、カリフォルニア州環境健康有害性評価局(Office of Environmental Health Hazard Assessment:OEHHA)は、飲料水に含まれるパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の公衆衛生目標(Public Health Goal:PHG)案を記載した文書を発表した。OEHHA は、PFOA の PHG の値をヒトの肝臓がんのデータに基づいて 0.007ppt(parts per trillion、ng/L)とし、PFOS の PHG の値を動物実験における肝臓および脾臓の腫瘍のデータに基づいて 1ppt とした。」(下線は付加)



コメント

1 2021年7月の発表で、カリフォルニア州は飲料水に関してPFOAは0.007ppt、PFOSは1pptとするという驚くべき厳しい基準(目標)を提案しています。同年9月まで公開コメントを募集した段階です。PFAO+PFOS合算値は1.007pptとなります。

2 日本では現在、合算値50ppt(50ng/L)を目標値とし、検出限界を5pptとしています。カリフォルニア基準で日本の蛇口を検査する場合、精度を上げる必要があります。たとえば東京都水道局のデータによれば、東京23区では世田谷区の2ヶ所を除いて5ng/L未満(検出限界未満)と表示されていますが、検査精度をあげれば2ng/L、4ng/Lなどの検出がありえます。

3 日本で水質検査を請け負う研究所・会社は多数あり、中にはPFAS検査に関して、0.1ng/L (0.1ppt)水準で検知できるとうたっている組織もあります。活躍に期待したいところです。


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