寄生虫ががん細胞の成長を促進する (Parasites induce cancer cell growth)
- yd
- 2024年7月9日
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出典 画像は神戸大学の研究者の以下の論文
いくつもの研究が細胞内寄生虫とがんとの関係を指摘しています。2022年にネイチャー誌に掲載された研究を短くご紹介します。
この研究は、トキソプラズマに感染した免疫細胞からのエクソソームが、がん抑制遺伝子を阻害することにより神経膠腫の成長を促進することが確認できたとするものです。研究の要約(アブストラクト、英語)は参考文献に掲載してあります(参考文献1)。
この研究に注目したのは、米国のLee Merritt医師が、寄生虫学者の話として、100年以上前から、寄生虫嚢胞とがんとが見分けつかないことを知っていたと話していたところから調べました。
生物学的多様性と最初に取り組んだとされるリネウスは、地上に2万種類の種が存在すると理解していましたが、現在では600万種と言われ、その中で脊椎動物に寄生する寄生虫は最大30万種類とされています(参考文献2)。その寄生虫30万種の過半数が顕微鏡サイズ(細胞内寄生虫)と言われています。つまり、私たちが腸内寄生虫として聞いたことのあるアニサキスやサナダムシなど細胞外に寄生する大きな寄生虫だけでなく、細胞内にすみこむ微小な寄生虫も膨大にあるということです。これらは顕微鏡でしか見えないサイズです。参考資料3の表で、主として原虫、真菌、細菌がそれに当たります。
この研究論文では、細胞内寄生虫の活動によりがん細胞が増殖することが確認されました。
以上が研究論文に基づく解説です。
親虫が健在の場合、その子供の寄生虫は嚢胞にかくまわれて静かにしています。親虫が死にそうになったり、宿主の免疫力が低下したりすると、親虫から信号が出て、子虫は一斉に嚢胞から出て増殖するようになります。
コロ◯・ワク◯ン後遺症として現在話題になっているターボがんは、どうして同時多発的に末期がんが発症するのか原因不明であり、治療法も確立していません。医学用語としても正式に認知されていませんが、全世界の患者数は膨大です。2020年まで世界で存在しなかった病変です。しかし寄生虫が一斉に羽化してミトコンドリアの機能を阻害したり、アポトーシス(細胞の計画死)機能を止めて増殖・転移を活発化させたりするなら、説明がつきます。人間の体のいたるところで寄生虫が活発に活動しがん細胞の増殖と転移を促進するというイメージです。
さらにこの見方なら、コロ◯・ワク◯ン後遺症全般に関して、なぜ寄生虫駆除薬であるイベルメク◯ンやヒドロ◯シクロロキンなどが極めて有効な治療薬と認知されたかも説明できます。寄生虫学は主として途上国での問題であり、日本やヨーロッパ先進諸国では過去の病気であると見なされています。研究者数も多くありません。現在、寄生虫病に罹患した患者を見たことのない医師・医療関係者が、診断し治療に当たっていると想定されます。
前述の寄生虫駆除薬は、何十年もの間、人間にも処方されてきた薬です。特に2015年にノーベル賞を受賞した大村智博士がゴルフ場の土壌から見つけたイベルメ◯チンは、極めて安価で、副作用のほとんどない薬として、何億人もの人たちが服用し、膨大な人たちの命を救った特効薬として実証済みです。まさに安全で効果的な薬として、ペニシリンとアスピリンより人類の健康に貢献したと言われているほどです。新型コロ◯危機の当初、インドでは、駆虫薬として服用していた州の市民がコロ◯に罹患しなかったと報告されています。
米国で、コロ◯・ワク◯ンの緊急時使用許可(EUA)を得るためには、新型コロ◯に効く特効薬の存在は不都合だったので、米国を始め先進諸国でイベルメ◯チンの使用は禁止されました。現在でも入手が極めて困難な先進国が多いとされています。日本も例外ではなく、個人輸入する必要がありますが、多種多様な後遺症に著効と言われています。
もちろんあらゆる病気の治療や症状の緩和に効くとは限りません。しかし、後遺症の方々やター◯がんの方々が、治療法や症状の緩和方法がありうることを知らないまま、苦しまれていることに心を痛めています。生活の質や生計が困難になっている方々も数知れないと承知していますし、重篤な方々は命に関わる事態に直面されていると理解しています。そうした方々のことを念頭に置きながら、勉強を続けています。
以上、ここでご紹介した論文は、寄生虫とがんとの関係を説明したものですが、大胆な研究者は、あらゆる疾患が寄生虫由来であるとする仮説も提示しています。ウイル◯学に対する評価が変わりつつあるのと同じく、寄生虫学と腫瘍学に対する評価も今後大きく変わると予想できます。
なお、この説明は医学的アドバイスではないことを十分ご理解いただきたく思います。
参考文献1
URL:
題名:
Exosomal miRNA-21 from Toxoplasma gondii-infected microglial cells induces the growth of U87 glioma cells by inhibiting tumor suppressor genes
アブストラクト:
Toxoplasma gondii is an intracellular protozoan parasite that can modulate the microenvironment of infected hosts and is known to be associated with the incidence of brain tumor growth. In this study, we suggested that the exosomal microRNA-21 derived from Toxoplasma infection would contribute to the growth of brain tumors. Exosomes of BV2 microglial cells infected with Toxoplasma were characterized and confirmed internalization to U87 glioma cells. Exosomal miRNA expression profiles were analyzed using microRNA array and miR-21A-5p associated with Toxoplasma and tumor sorted. We also examined the mRNA level of tumor-associated genes in U87 glioma cells by changing the level of miR-21 within exosomes and the effects of exosomes on the proliferation of human U87 glioma cells. Expression of miRNA-21 was increased and anti-tumorigenic genes (FoxO1, PTEN, and PDCD4) were decreased in exosomes within T. gondii-infected U87 glioma cells. Toxoplasma-infected BV2-derived exosomes induced proliferation of U87 glioma cells. The exosomes induced the growth of U87 cells in a mouse tumor model. We suggest that the increased exosomal miR-21 from Toxoplasma-infected BV2 microglial cells may play an important role as a cell growth promotor of U87 glioma cells through a down-regulation of anti-tumorigenic genes.
参考文献2:
参考資料3:
医学検査研究所資料
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