半導体とPFASとの関係
- yd
- 2022年4月26日
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ウクライナ情勢が製造業に影響が及ぼしていることは、日本でも報道されていますが、PFAS汚染が新たに半導体製造に深刻な影響をもたらしていることはほとんど報道されていません。
私はChem-Stationという日本の化学ポータルサイトの2022年2月の記事で知りました。このサイトは、化学分野の話題をわかりやすく解説してくれています。
その後検索してみると、2022年4月7日にオンラインサイト"Barron's"に続報がありました。
その記事の概要は以下の通り。
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コンピュータチップはコロナで工場閉鎖やPC需要増でもともと品薄だったことに加えて、ウクライナ不安定化によりネオンなどの希ガス不足が重なった。チップ生産にさらに影響があるのは、チップ生産のエッチング・プロセスで冷却材として使われるPFASが製造できなくなったことである。半導体レベルのPFAS製造の大半は3Mが製造しているが、その主要部分はベルギーのズヴァインドレクトにある3Mのたったひとつの工場で製造されている。最近になってベルギー政府が要求する排出管理を満たせなくなった3MはPFASの製造をストップした。3月30日にPFAS対策費1億6300万ドルを計上したが、3Mによれば、この政府とのこう着状態を打開するタイムラインは不確定であり、3Mだけで決められるものでもない、顧客には混乱がありうると伝えたと言う。
コンサルタント会社Resilincの情報では、3Mはチップ冷却材の世界シェアの90%を押さえ、その80%がベルギーのひとつの工場で製造され、残りは米国で製造されている。冷却材の世界シェアの残り10%はベルギーの別の会社Solvayがイタリアで製造している。3Mの冷却材ブランド名はFluorinertとNovecである。冷却材は、インテル、マイクロン、SK Hynix、サムソン、台湾セミコンダクターなど、チップ製造の大手企業に供給されている。
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コメント
これまで私はPFASの環境汚染に注目してきて、かなり広範にオンラインで読んできたつもりですが、PFASが半導体製造にこれほど重要な役割を果たしているとは理解していませんでした。それだけでなく、チップ冷却材製造がこれほど独占(寡占)体制になっていることも今回初めて知りました。
半導体製造は私の専門外ではありますが、ベルギー政府が住民の健康被害を重視して工場の操業停止を求めたこともわかります。他方、代替できる冷却材が簡単に見つかるとも考えにくいように思います。
気になって調べてみましたが、イギリスのガーディアン紙にも米国のニューヨークタイムズ紙にも、このベルギーでの現在進行形のPFAS問題に関する記事は見当たりませんでした。もちろん日本でも報道はされていないように見ています。
以上
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