グルタミン酸ナトリウムが混入している添加物 Which additives contain MSG? (according to the FDA)
- yd
- 2023年3月9日
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出典: 三菱商事ライフサイエンス
https://ajibana.jp/column/662/
(0)始めに
(1)グルタミン酸ナトリウムに関する誤解、または意図的隠蔽
(2)隠れされた添加物
(3)まとめ
(0)始めに
米国食品医薬品局(FDA)のサイトには、グルタミン酸ナトリウム(MSG)が「自然に」含まれている(MSG occurs naturally in ingredients such as...と表記されています)原材料として、以下のものが列挙されています(参考文献1)。これを例に、グルタミン酸ナトリウムを巡る諸問題を整理します。
hydrolyzed vegetable protein,
autolyzed yeast,
hydrolyzed yeast,
yeast extract,
soy extracts,
and protein isolate,
as well as in tomatoes and cheeses.
(1)グルタミン酸ナトリウムに関する誤解、または意図的隠蔽
このFDAのリストには、2つ誤解を招く表記があります。1点目は、グルタミン酸ナトリウム(MSG)が「自然に」含まれているとする表現です。なぜなら、例として、人工的に製造した添加物である酵母エキスに、人工的に製造したグルタミン酸ナトリウムが「自然に」入っているわけではないからです。酵母エキスは、酵母を使って工業的に炭水化物などからグルタミン酸ナトリウムなどの旨味成分を生成したものです。より正確にはグルタミン酸ナトリウムが名前を伏せて添加された原材料と理解すべきです。この点については後述します。
2点目は、グルタミン酸ナトリウムを含む原材料のリストにトマトとチーズが掲載されている点です。グルタミン酸ナトリウムは工場で人工的に製造される化合物です。自然界には存在しません。トマトやチーズに含まれる旨味成分は、難水溶性のグルタミン酸であって、高水溶性の工業生成物であるグルタミン酸ナトリウムではありません。しかもトマトやチーズに含まれるグルタミン酸は、単体で存在するわけではなく、単糖類多糖類や他のアミノ酸と結合しています。トマトやチーズに含まれるグルタミン酸は水に溶けにくく、溶けても単体の遊離グルタミン酸はごく微量しか発生しません。トマトやチーズに含まれるグルタミン酸は、摂取しても消化器官内でほとんど溶け出さず、従って遊離グルタミン酸を発生せず、その後肝臓でゆっくり同化されます。グルタミン酸は水にほとんど溶けないので、消化器官にも存在するグルタミン酸受容体を刺激することはほとんどありません。グルタミン酸は非必須アミノ酸で、神経の働きに極めて重要な役割を果たしますが、ごく微量で十分です。
これに対して、グルタミン酸ナトリウム(MSG)は高水溶性なので、摂取するとすぐ水に溶け出し、遊離グルタミン酸とナトリウムイオンが大量に発生します。水溶性の遊離グルタミン酸(グルタミン酸イオン)がこのように大量に発生すると、興奮毒素として過剰に神経細胞のグルタミン酸受容体を刺激し、神経細胞死をもたらします。
これらの間違いがFDAの公式サイトに掲載されたままになっていることは驚愕すべきことと考えています。MSG問題は1960年代から燻り続けている問題です。単なる誤記、事実認識の誤りとは受け取れない隠された部分がありそうです。
(2)隠れされた添加物
さて前述のグルタミン酸ナトリウムが含まれる添加物のリストを和訳してみます。
hydrolyzed vegetable protein 植物タンパク加水分解物
autolyzed yeast 自己融解酵母
hydrolyzed yeast 加水分解酵母
yeast extract 酵母エキス
soy extracts 大豆エキス
protein isolate タンパク質分離物[分解物]
as well as in tomatoes and cheeses. (トマトとチーズは誤記ですので省略します)
これらの添加物のうち、タンパク加水分解物、酵母エキス、および[大豆]タンパク質分解物は、日本でも原材料表示で馴染みのあるものです。日本ではグルタミン酸ナトリウムは「調味料(アミノ酸等)」と表記することが義務付けられていますが、重大なことは、酵母エキスなど上記リストに掲載されている添加物にも、グルタミン酸ナトリウムが入っていることです。従って、グルタミン酸ナトリウムを避けるためには、その他の添加物も全て避ける必要があります。
興奮毒素として懸念の強い遊離グルタミン酸の隠れ蓑になっている添加物は他にも多数あります。別のサイトのリストを紹介します(参考文献2)。
Glutamic Acid (E 620)
Glutamate (E 620)
Monosodium Glutamate (E 621)
Monopotassium Glutamate (E 622)
Calcium Glutamate (E 623)
Monoammonium Glutamate (E 624)
Magnesium Glutamate (E 625)
Natrium Glutamate
Yeast Extract
Anything hydrolyzed
Any hydrolyzed protein
Calcium Caseinate
Sodium Caseinate
Yeast Food
Yeast Nutrient
Autolyzed Yeast
Gelatin
Textured Protein
Soy Protein Isolate
Whey Protein Isolate
Anything :protein
Vetsin
Ajinomoto
このリストによれば、全ての加水分解物、イーストフード、ゼラチン、プロテイン(タンパク質)なども避けるべき添加物となります。同じサイトで、グルタミン酸ナトリウムを避けるにはどうすればいいかのアドバイスとして、未加工の原材料を自分で調理することを推奨しています。ソーセージやレトルトカレーなどの加工品、既製品、調理済み食材、お惣菜、レストランの食事、スポーツプロテインなどは、グルタミン酸ナトリウムが使われている可能性が極めて高いからです。もちろん、あられやポテチやソーセージ、生ハムの中には、極めて少数ですが、グルタミン酸ナトリウムを使用していないものが市販されています。しかし健康を謳っている食品に酵母エキスが入っていることは稀ではありません。
(3)まとめ
グルタミン酸ナトリウムに代表される興奮毒素の弊害が社会で共有されていない現実に愕然とします。健康を維持することが難しい、本当に生きにくい社会になってしまいました。グルタミン酸ナトリウムが溢れるようになってしまった現実を直視し、健康で安心して充実した人生を送れるように、一人一人が自覚することがまず何より大切だろうと考えています。
参考文献1
参考文献2
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