グルタミン酸はMSGでもグルタミン酸ナトリウムでもありません Glutamic Acid - It Is Not MSG or Monosodium Glutamate
- yd
- 2023年4月8日
- 読了時間: 9分

出典
エデン・フーズ社は、ウェブサイトによれば、北米で一番古い自然・有機食品会社であるとともに、生鮮食品以外の有機食材を扱う独立系の最大の製造企業として、日本伝来のマクロビオティック食材も扱っています。日本でもiHerb通販サイトで多数の商品を比較的安価に購入することができます。このエデン・フーズのサイトに極めて注目すべき記事が掲載されていたので、紹介したいと思います。自然食材に含まれるグルタミン酸と化学調味料のグルタミン酸ナトリウムとの違いをわかりやすく説明したものです。
このことは、ラッセル・ブレイロック博士などが30年間主張し続けてきたことですが、昆布などに含まれるグルタミン酸と異なり、うま味調味料に含まれるグルタミン酸ナトリウムや遊離グルタミン酸は、人体にとってどれほど有害かがコンパクトに説明されています。これを理解するか、社会に流布する俗説に惑わされるかで、健康に対する意識は根本的に異なります。
なお、できるだけ原文に忠実に翻訳し、訳注で補うように心がけましたが、このエデン・フーズ社のサイトの説明では、「グルタミン酸」(glutamic acid)と「グルタメート」(glutamate)が同一であり、glutamic acidの短縮形としてglutamateが使用されている箇所があります。その他の文献でこれらは同一であると記載されているものがあります。私の理解では、グルタメートはグルタミン酸が陰イオン化したものですが、グルタメートには2種類あってアミノ酸と結合したグルタメートと遊離グルタメートに分けられるとする解説もあります。
グルタミン酸には他のアミノ酸と結合した結合グルタミン酸と、単独で存在する陰イオン化した遊離グルタミン酸があるという説明はよくわかります。実際、エデン・フーズのこの記事でもそう区別し、工場で製造されるD-グルタミン酸のことを遊離グルタミン酸と同一であるとしています。自然界には遊離グルタミン酸はほとんど存在せず、通常の食生活でも遊離グルタミン酸が体内に過剰に入り込むことはないが、極めて水に溶けやすいグルタミン酸ナトリウムは、速やかに多量の遊離グルタミン酸を発生させ、興奮毒性が高まると説明できます。
なお別の学術論文では、工業生産されるグルタミン酸ナトリウムも99.6%がL-グルタミン酸である、夾雑物として入っているD-グルタミン酸が健康被害につながる、とするものもありました。またD-グルタミン酸は旨味成分がないとするサイトもあります。これらについては今後の課題とします。いずれにせよ、過剰な遊離グルタミン酸が興奮毒素となることは変わりません。
なお、文中の[ ]内は訳者補注であり、下線も追加してあります。
Glutamic Acid - It Is Not MSG or Monosodium Glutamate
「グルタミン酸はMSGでもグルタミン酸ナトリウムでもありません 」
全文
タンパク質[プローティン、プロテイン]は、筋肉、臓器、および人体の全ての組織を形作っています。毛髪、爪及び靭帯を作っています。胃酸を産出し、筋肉の動きを助け、モノを見ることができ、抗体を作り、血液に酸素を供給します。生命体に不可欠です。
タンパク質はアミノ酸が鎖状につながったものです。確認されている22種類のアミノ酸のうち8種類は、体内で作れないので食物から摂取しなければならない「必須」アミノ酸に分類されます。残る14種類のアミノ酸は、体内で生成でき摂取しなくても良い「非必須」アミノ酸です。
グルタミン酸は、植物と動物に豊富に存在する非必須アミノ酸です。グルタミン酸は、タンパク質を作る材料であるだけでなく、神経信号の伝達に不可欠なものであり、脳内でも生成されます。
普通の人は体内に20kgのグルタミン酸(グルタメート)を保有しています。グルタミン酸は、タンパク質とペプチド[2つ以上のアミノ酸が結合したもの]の主要構成要素であり、ほとんどの体内組織に存在しています。ほとんどあらゆる食べ物にグルタメートが含まれます。肉、卵、鶏肉、牛乳、チーズ及び魚のようなタンパク質の多い食べ物の主要な要素です。グルタメートまたはグルタミン酸は穀類、豆、野菜、マッシュルーム、果物、木の実、昆布のような海藻、そして母乳にも広く含まれています。次の表は主な食べ物に含まれるグルタミン酸の量です。
Food Source Serving Size Amount of Natural Glutamic Acid
食品 一人前の分量 自然状態のグルタミン酸量
Chicken breast, roasted 1 each 8.62 grams
Chicken breast, batter fried 1 each 8.50 grams
Turkey breast 3 oz. 3.86 grams
Ground beef, broiled 3 oz. 3.28 grams
Sirloin, roasted 3 oz. 3.54 grams
Avocado & Cheese Sandwich on Wheat
1 each 4.07 grams
Fish Sandwich 1 each 3.38 grams
Pretzels 5 pieces 0.91 grams
Garbanzo Beans 1/2 cup 1.27 grams
Baked Potato w/Cheese 1 each 3.02 grams
Baked Potato, plain 1 each 0.78 grams
Tomato Paste, Unsalted 1/2 cup 1.93 grams
Walnuts 1 oz. 1.42 grams
Peanut Butter 2 Tbsp. 1.60 grams
Sunflower Seed s1 oz. 1.21 grams
Buttermilk Pancakes 1 ea. 1.53 grams
Couscous 1/2 cup 2.14 grams
Lobster, boiled 1 cup 5.06 grams
Yellowtail Fish 1 fillet 12.94 grams
Salmon 1 fillet 12.68 grams
Egg 1 each 0.63 grams
Yogurt, plain 8 oz. 2.51 grams
Hot Cocoa 1 cup 1.88 grams
Milk 1 cup 200 mg to 1.68 grams
depending on the amount
of fat in the milk
Kelp (kombu) 1/2 cup 0.11 grams
Wakame 1/2 cup 0.08 grams
出典: エリザベス・S・ハンズ『食品の栄養素』の米国農務省資料
グルタミン酸には、L-グルタミン酸とD-グルタミン酸の2種類があります。タンパク質に含まれているL-グルタミン酸は、「結合」グルタミン酸または「タンパク質結合」グルタミン酸と呼ばれます。本物[未加工]の自然の食べ物のアミノ酸は滅多に遊離していません。むしろアミノ酸は、ペプチドやタンパク質として長い鎖で他のアミノ酸とつながったり結びついたりしています。これに対して「タンパク質の外側に存在する」D-グルタミン酸、別名「遊離グルタミン酸」は、体外で人工的に化学反応により製造されます。これがグルタミン酸ナトリウムまたはMSGととして知られているものです。
アジア文化圏では何世紀も前から、食べ物の味を良くするために、昆布に代表される海藻を利用してきました。昆布は従来、「出汁(dashi、だし)」と呼ばれるブロスを作るために用いられ、最近では昆布エキスを作るのに使われています。両者ともグルタミン酸の源ですが、昆布エキスは濃縮されています。ただし留意してほしいのは、このグルタミン酸は「タンパク質に結合した」L-グルタミン酸であるということです。出汁もエキスも、昆布を水に浸してグルタミン酸の旨味のエッセンスを抽出したものにすぎません。前掲の表で、他の高タンパク質の食べ物と比べると、昆布はグルタミン酸の含有量では最も少ない部類です。
バランスの取れた究極の旨味を追求していた日本の化学者池田菊苗は、1907年に、旨味の成分を分離することに成功しました[1908年に突き止めたという説もある。なお池田は昆布の旨味成分がグルタミン酸であることを突き止めた。グルタミン酸の存在は1866年にドイツのリットハウゼンが解明していた]。海藻だけでなく小麦、蕪、とうもろこしあるいは廃糖蜜からグルタミン酸ナトリウムを抽出したのです。1909年、味の素株式会社[当初は鈴木三郎助創業の鈴木製薬所、後に鈴木商店となる]は、グルタミン酸ナトリウムまたはMSGとして特許を取得し、米国で「アクセント」という名称で旨味香料を売り出しました。この化学物質は海藻の昆布のような食品ではなく、有害な調合物であり興奮毒素です。
タンパク質の含まれる食べ物を摂取すると、体内で胃と腸において、塩酸と消化酵素の作用で分解または加水分解されます。健康な人であれば、体がタンパク質から摂取するグルタミン酸の量をコントロールします。過剰なグルタミン酸は体内に貯蔵されないので、有毒性を防止できます。余剰物として排泄されるのです。このように活用されるため、タンパク質を食べることで得られるグルタミン酸は無害です。しかし、グルタミン酸ナトリウムを製造する化学工場では、上に列挙した食べ物は、さまざまな製法(強い化学物質や酸やしばしば遺伝子組み換えされたバクテリアや酵素を使う加水分解、自己融解、改変あるいは発酵)により、分解または「タンパク質から遊離」され、塩や砂糖のように見える白色の結晶粉に精製されます。化学物質のMSGは78%がグルタミン酸、12.2%がナトリウム、9.6%が水からできています。この化学物質がD-グルタミン酸ナトリウムです。大抵、L-グルタミン酸ナトリウム、ピログルタミン酸その他の混入物が少し入っています。工場で生産されるこの物質が深刻な反応を引き起こすのです。我が社の研究によれば、植物や動物のタンパク質には、D-グルタミン酸ナトリウムやピログルタミン酸その他の混入物はありません。L-グルタミン酸だけです。工場で製造された純粋なMSGを摂取すると、グルタミン酸から急激な影響が出ます。この「タンパク質から遊離した」グルタミン酸、あるいは天然に発生する「タンパク質と結合した」グルタミン酸とは異なるグルタミン酸は、他のアミノ酸と結びついていません。ゆっくり分解させる「ペプチド」結合がないので、通常の消化による分解過程は発生しません。遊離グルタミン酸が急激に増加し、速やかに吸収され、グルタミン酸の血中濃度が8倍から10倍に上昇し、有害な状態になるのです。
化学的に製造されたグルタミン酸ナトリウムを含む食品は、スーパーマーケットにも自然食品店にもたくさんあります。原材料表示欄に表示されていないことの方が多いくらいです。なぜならグルタミン酸ナトリウムは原材料の「製造助剤」だからです。グルタミン酸ナトリウムが製造助剤として使用される場合、FDA(食品医薬品局)は表示義務を課していないのです。グルタミン酸ナトリウムは、加水分解された動物・植物(植物性タンパク質)・牛乳タンパク質にも入っています。カルシウムやナトリウムのカゼイン塩は、加水分解乳製品の副産物です。加工とうもろこしとコーンスターチから作られるモルトデキストリンに入っています。ブイヨン・キューブ、自己融解酵母エキスと化学的に製造されたモールト・シロップにも少量含まれています。ホエイタンパク質やタンパク質分解物、燻製香料、バーベキュー燃料、及び廉価の醤油や似せて作った醤油も含んでいます。化学的に合成されたゼラチンや子供用のワクチンにも含まれます。
我が社エデン・フーズは、エデン製の豆、エデン・ソイ、その他の製品に化学物質であるグルタミン酸ナトリウムを使用していません。公開情報の中には、混乱や矛盾する情報や研究が蔓延しています。そうした歪んだり誤ったりしている情報は、グルタミン酸ナトリウム生産者がスポンサーになっています。概して、化学物質であるグルタミン酸ナトリウムはD-グルタミン酸と表記すべきなのに、誤って[あるいは意図的に] L-グルタミン酸と書いていることが多いです。イーデン・フーズは、グルタミン酸ナトリウムの摂取は大変危険であると理解しています。以下のウェブサイトには、食品に含まれる自然のグルタミン酸は安心できるが、化学物質のグルタミン酸ナトリウムは異なるものであることを示しています。
https://www.msgmyth.com
https://www.truthinlabeling.org/msg.html
出典
補足コメント
D-グルタミン酸とL-グルタミン酸との違いは、冒頭の構造式で明らかなように、NH2とHが反対向きについているだけの違いです。味の素の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは下の右図ように、ナトリウムイオンが結合しています。

図の出典
エデン・フーズ記事の出典
コメント