PFAS上級編
- yd
- 2021年12月24日
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更新日:2022年2月11日
中級編で書いたように、日本の水質検査では、5pptが測定限界とされています。たとえば東京23区内では、ほとんどすべての測定場所で測定限界以下の"<5ppt"と表示されています。しかしこれは、5ppt未満は測定できないという意味なので、"<5ppt"と表示されている地域でも、検出精度を高めたら、4pptとか2pptなどのPFASが検出されるかもしれません。大腸菌は「検出せず」と表記してありますが、PFASは「検出限界である5ppt以上は検出されていない」、つまり5ppt未満の量は含まれているかもしれないが測定できていない、と宣言しているにすぎません。
1 測定限界について
この測定限界にこだわることには理由があります。カリフォルニア州の規制案の基準が極めて厳しいことになりそうだからです。カリフォルニア州の現在の案では、PFOAは0.007ppt、PFOSは1pptとなる予定です。つまり日本の測定限界の5pptよりはるかに低いレベルで規制されることになります。この点は引き続き注目に値します。
2「PFOAとPFOS」以外のPFASについて
さらに、今後の私のリサーチの課題として、水道水に「PFOAとPFOS以外のPFAS」が混入しているという仮説を抱いています。このページは以下、その他のPFASについての疑問に関して書きます。
東京都水道局の蛇口水質検査結果の表には、
1 「水質基準項目」に「フッ素及びその化合物」(基12)
という項目があります。これは
2 「水質管理目標設定項目」の末尾に2020年4月から追記された「PFOSとPFOA」(目31)
とは別の項目です。基12は早くから水質基準項目に記載されていたものですが、基準値が「0.8mg/L以下」とされています。目31は目標値が「0.00005mg/L以下」です。pptに直すと基12は800,000ppt以下、目31は50ppt以下ですから、基準12と目31とでは基準の桁が4桁も違います。推測ですが、ふつうのフッ素化合物ならこの程度のゆるい基準でも健康被害にいたらないという評価と認識に基づいて、水質基準項目の基準は設定されていると考えられます。問題は、ふつうでないフッ素化合物であるPFASは、ごく微量でも悪さをする可能性があることです。
PFASは、PFOSとPFOA以外に、少なくとも4000種類あります。現在一番深刻な健康被害の疑いがあるPFASとしてPFOSとPFOAの2種類が水質管理目標設定項目に追加されているわけですが、それ以外のPFASには基準が設定されていません。水質基準項目リストにも水質管理目標設定項目リストにも項目がないということは、計測対象になっていないということです。
もし、仮説の話として、水質基準項目の「フッ素及びその化合物」(基12)の中に「PFOS+PFOA」以外のPFASが含まれるとしたら、その水質基準項目の基準を満たしていたとしても、健康被害をもたらす可能性のある高濃度のPFASが水道水に含まれている可能性が十分にあります。なぜなら、前述のように水質基準項目の基準が桁違いにゆるく、PFASはごく微量で健康被害をもたらすからです。
これを個人で調べるには、自宅水道水について、PFOSでもなくPFOAでもないPFASをひとつ選んで水質検査会社に測定してもらう方法が考えられます。たとえば、Gen X (HFPO: hexafluoropropylene oxide dimer acid (HFPO-DA)を含む)を測定し、50ppt<PTFE<800,000ppt である可能性を確認することは可能です。水道水が水質基準を満たしていても、大量のPFASが検出されたことになります。三重県環境保全事業団に依頼する準備をしています。結果が出たらお知らせします。
蛇足ながら、東京都の蛇口の水質検査結果について、気になる点があります。23区内に水を供給している三郷浄水場の水質基準項目のうち「フッ素およびその化合物」(基12)の測定結果は、基準値(0.8mg/L以下)内ではあるものの、0.10mg/Lのように実測値が表示されています。私が確認した令和3年(2021年)6月末現在の表では、51項目中17項目に実測値が表示されています。それ以外は測定限界以下との表示になっています。水質基準項目はすべて基準値未満で「合格」ですが、問題はこの(基12)の 0.10mg/Lをどう評価するかです。これは(基12)の基準値0.8 mg/Lの1/8ではありますが、pptで表記すれば0.10mg/L = 100,000pptです。つまりこれがすべてPFASだったら、PFOS+PFOAの基準値50ng/L (=50ppt) の2,000倍になります。驚くべき高い汚染度ということになります。(基12)の中にPFASが混入していることを疑っています。
東京都水道局ウェブサイト
三重県環境保全事業団ウェブサイト
Abstract of this blog page: I am suspicious about the discrepancy between the 2 data disclosed by Tokyo Metropolitan Government Water Board. The one, on PFOS+PFOA, became a requirement in April 2020, recording anything 5ng/L or above, governed by a temporary target value of no more than 50 ng/L (= 50 ppt).
There is however another existing set of data labeled "Fluorine and related chemical compounds" listed in the conventional water quality standard section, with a reference value of no more than 0.8 mg/L, which is 800,000 ppt. Can this data include all other PFAS substances?
I have started preparing to measure the quality of tap water in my house.
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